2013-09-05

 雨が降りそうだった。稜線に雲が降りてきており、山々の姿をすべて見通すことはできなかった。朝方から見られた霧とも靄ともつかない朧な白い陰は、雨雲の濃い灰と混ざり合い、だんだんと平地を暗くしていった。昼過ぎには、雨がもう降ってくると誰もが思うような暗さになった。気温も上がらず、終始肌寒さを感じる日だった。しかし結局、雨は降らなかった。

 美しい景色というものは、見慣れていないからその美しさを感じるのだと言える部分もある。逆に、たとえば、美しいと多くの人に賞賛されるような画家の絵は、描いた当人は美しいと感じるのだろうか、と考える。私は感じると思う。つまり真新しさゆえの感銘と、本質的に備えている美しさと、二種類あり得る。楽曲などがわかりやすいかもしれないが、初め聴いたときは素晴らしいと思った曲でも、何度も聴いていると大してその良さを感じられなくなる。しかし、何度聴いても良い曲だと思えるような曲も中には存在する。その違いだ。

 

では。

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