2013-09-08

 空に浮かぶ雲は立体的で重層的なのだと初めて気付かされたのは、空の描き方の本を読んだときのことだ。そして今日、曇り空を眺めていたら、低い雲と高い雲で流れ方や色が違うのだとはっきり観察できた。平野部の広く開けた場所で、車で移動していて、私は外の景色を見る。遠くにそびえる山々が低い雲で隠れ、あるいは低い位置にぽつんと浮かぶ雲は斜面に陰を落としていた。田んぼに蓋をするかのように雨雲が空をくまなく覆い、威圧感と不安感を与えていた。私はある種の神妙さをもって頭上を眺めた。好奇心もあった。他の同乗者の誰も、車窓の外に目を遣ろうとしなかった。興味がないようだった。都会にいたら、こんな景色、一度たりとも見ることはできないだろうに。しかし彼らは、どこにいても自分が生きて馴染んだ世界の風景を見直したりはしないのだろう。だから言及するだけ無意味なのだ。同じ空だったとしても、私が見るものと彼らが見るものは違っていて、明らかに違う意味をもたらしている。それは特別なことでも何でもないし、誇るものでもないけど、いや違う私はこんな釈明じみた言葉を重ねようとしたのではない。

 ただ、青空が広がっていなくても空は美しいのだということを実感しただけだ。

 

では。

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